相談例10 父親の相続財産をすべて母親に相続させたいケース(1人息子の相続放棄はキケン)

田舎の父が亡くなりました。

1人息子の私は結婚もして、都会暮らし。
特に生活に困っている訳でもないので、父の財産は全て母に相続させたいと考えています。

私が相続放棄をしてしまうのが、もっとも簡単で手っ取り早い方法だと思うのですが・・・

 

回答

相続放棄は、亡くなった方の相続について『初めから相続人でなかった』ことになる制度です。(民法第939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」)

つまり相続放棄をすると、亡くなった方とは「相続関係において」は無関係なります。
亡くなった方に多額の負債があった場合、これを次世代に引き継がせるのは余りにも酷です。
これを防ぐためにある制度といってもよいでしょう。

しかし、よく検討をしないで相続放棄をしてしまうと、思いもよらない相続トラブルに発展する可能性もあります。
上記の例ですと、1人息子が相続放棄をしてしまうと、下記のように相続関係が変化してしまいます。

 

① 1人息子と妻(配偶者)が相続人
(亡くなった方)父=母(相続人) 
         |
         子(相続人)

② 1人息子が相続放棄をすると・・・

(亡くなった方)父=母(相続人) 
         |
         子(相続放棄→初めから相続人でないことになる)

③その結果・・・亡くなった父の尊属(おじいちゃん・おばあちゃん)が存命の場合、その方たちが相続人となります。

 

このように1人息子が相続放棄をしてしまうと、相続において子は「初めからいなかったもの」として扱われてしまいますので、子供がいない夫婦と同じ相続関係となります。

つまり、妻(配偶者)と夫の両親、または兄弟が相続人となってしまいます。

こうした場合、やはりトラブルとなりやすいのが、妻と夫の兄弟が共同相続人となってしまうことです。
はっきりと言ってしまえば、元は他人同士、近いて遠い親戚ですから、往々にして遺産分割協議となっても上手くいかないケースが目立ちます。

このようなケースで、目立った負債(借金)もないようでしたら、妻と子で妻が全ての財産を相続するような遺産分割協議を行う方がよいでしょう。

勿論、亡くなった方に借金など債務が多い場合は別です。
この場合は、親類が協力して相続放棄の手続きを行うべきです。

子や妻が相続放棄をした場合、亡くなった夫の両親、両親がいない場合や相続放棄をした場合は、亡くなった夫の兄弟が相続人となってしまいます。

この場合、先順位で相続放棄をした方の手続が終り次第、全ての相続人が順々に相続放棄をしていくべきでしょう。

 

相談事例の最新記事

Page Top