相続人の中に、長年全く生死不明の者がいる場合(失踪宣告)

▼失踪宣告とは

長年にわたり不在であったり生死不明の方を死亡したものとみなし、いったんその方の相続関係を確定させるために設けられた制度です。

失踪宣告には、「普通失踪」「特別失踪」の2つがありますが、今回は「普通失踪」について解説します。

普通失踪 → 最後に連絡が取れた状態から7年間以上生死が不明である

特別失踪 → 戦争や飛行機・船舶事故等の危難が去った後から1年間以上生死が不明である

相続手続きの基本的な考え方は「全ての相続人の確定」及び「相続人全員の合意」です。
このため被相続人にあたる方が長年行方不明であったり、また同じ相続人の中に連絡が取れない方がいると、いつまで経っても不動産登記や銀行預金の解約手続きなどの相続手続きが終わりません。

こうした場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることがあります。

申し立てる家庭裁判所は、不在者の「最後の住所地」を管轄する家庭裁判所です。

失踪宣告が確定すると、不在者は死亡したことと同じにみなされます。
通常の死亡と同様に相続が開始しますので、不動産登記やまた死亡保険金の受け取りなども、死亡した場合と同じように手続を進める事ができます。

所在不明の相続人の住所地を調べるため戸籍収集を行っていると、住民票や戸籍附票で「職権消除」という記載を目にすることがあります。

各自治体では、住民税や国民健康保険料の滞納、親族や近隣の方の申し出などで、居住していない可能性がある場合、各自治体の職員が税徴収などと同時に居住の調査を行います。

この実態調査で、長年不在であることが明らかな場合(居住の実態がない、居住のアパートが取壊されているなど)、各自治体の職権で住民登録を消除する場合があります。

これが「職権消除」と呼ばれるものです。

住民登録がないと、国民健康保険に加入することや、実印の印鑑登録を行うことができません。
弊所でご相談を受けた事例でも、失踪宣告の対象となるような長年連絡が取れない方は、このような住民票の職権消除がなされていることが多くあります。

失踪宣告が確定すると、不在者は死亡したことと同じにみなされますが、失踪宣告をされた方が見つかった場合、一旦出された失踪宣告を取り消す手続きも取ることができます。

この場合、既に行われた相続手続きが全て取り消されるわけではなく、他の相続人など利益を受けたものは「現に利益を受けている限度」として返還することになっています。(民法第32条第1項第2項)


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