相続不動産の活用方法の種類とそれぞれのメリット・デメリットをプロが解説!
司法書士法人近藤事務所では相続を中心に業務を扱っております。
同じビル内の別会社の株式会社みなとトラストにて宅建免許(神奈川県知事(1)第31658号)を取得し、小規模ながら不動産投資事業や不動産仲介業務をしています。
そこで、ここでは司法書士と不動産会社の両面から相続不動産について活用方法やそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
相続不動産の3つの活用手段
さて、司法書士として相続を中心とした業務を行っていると、不動産というものの活用法は以下の3つしかないと、痛感します。
当たり前のことになりますが、不動産の活用方法というのは下記の3つとなります。
① 住む → 家族が同居していた場合や、相続人がIターンやUターンをする場合
② 売る → 空き家の管理が大変な場合や、現金にして分割したい場合
③ 貸す → 住む予定はないけれど、売るのは忍びない場合など
そもそもREITなどの特殊なケースを除けば、一般的な不動産の活用方法としては、この3つ以外はないといえるでしょう。
特に相続した不動産(以下、相続不動産といいます)の場合、亡くなった方と同居しているご家族がいる場合、①の住むという選択肢に当然たどり着きます。
ただ同居のご親族がいらっしゃらない場合ですと、たまたま転居を考えていたとか、これを機に相続したご実家に戻ろう、などというケース以外は、相続不動産に住むという結論にはなかなか至らないかと思います。
これは後述しますが、相続人としてもこれまで居住していなかった不動産のため、亡くなった被相続人の生活感がどうしても室内にのこっているため、なかなかそのまま住もうという気にはならないからかもしれません。
リフォーム工事をするにしても手間と費用ががかかるため、単に不動産を相続したからっといて、そこに住むまでのプロセスもなかなかに大変です。
②の売るというのは、不動産を相続した場面でも良くみられる選択肢です。
特に1人暮らしでお子様のいない方が亡くなられた場合、今まで住んでいた亡くなられた方にとっては、唯一の拠り所であった相続不動産が、相続人にとっては無用の空き家となっていまい、売却という選択肢を取る方も多いかと思います。
私どもが宅建業としてお手伝いさせて頂くケースの大半も、このケースでの不動産の売却となります。
3の貸すという選択肢については、亡くなられた方の相続不動産に住むことは現実的ではないが、売却もちょっと・・・という方に見られる選択肢といえます。
ただ元々亡くなられた方が収益不動産としていた一棟アパートやマンションなどを除けば、相続人が何らかの加工をしない限り、賃貸不動産として商品化することが難しいでしょう。
相続不動産の活用方法とメリット・デメリット
相続不動産の3つの活用方法にはそれぞれの下記のメリット・デメリットがあります。
相続不動産に住む場合
メリット
・家賃負担がなく住める
・実家・生家など思い出の地を残せる
デメリット
・リフォーム・修繕が必要な場合が多く費用負担がある
・被相続人の生活感や、室内で亡くなられた場合、心理的ハードルとなることがある
・既に持ち家がある場合、2つあっても意味がない
相続不動産を売る場合
メリット
・現金化することができるので、相続人間で分割しやすい
・維持管理の負担がなくなる
・場合により税制(譲渡所得税)の軽減を受けることができる
デメリット
・売却活動をどこに頼めば良いか分からない
(一括査定サイト等しつこい営業が来る)
・売却益が出ると譲渡所得税がかかる
・思い出のある家の場合、抵抗がある
相続不動産を貸す場合
メリット
・毎月の安定した家賃収入が得られる
・家賃収入を得て維持が可能
・将来的に立て直しなどの可能性も残す
デメリット
・借主を探す、契約管理をする労力が必要修繕・リフォーム工事の対応が必要
・空室リスクや賃料下落リスクを負う
それぞれの注意点やポイントを詳しく説明
それぞれのメリット、デメリットをもう少し詳細に見ていきましょう。
相続した不動産に住む場合のポイント・注意点の詳細
相続不動産に「住む」場合で最も多いケースは、そもそも相続人が被相続人と同居していたケースです。
この場合、当然ですが住むというご選択をお勧めします。
家賃や住宅ローンといった生活費の大幅な軽減になります。
思い出の詰まった住まいを守ることができるという点も、大きな意味を持つ選択です。
また相続を機に、実家や生家へ戻る場合も稀に見られます。
居住することで、空き家として放置されることを避けることができます。
ただどうしても都市部で生活をされている方の場合、多くのケースではどちらかといえば地方の実家を残したいが、子どもの教育などで生活の基盤は今更移せず、処分に困るというケースも多いように見受けられます。
「住む」ことのデメリットとしては、リフォーム・修繕が必要なケースが多いことがあげられます。
特に前述したような地方の実家や生家の場合、相続した住宅は築年数が経っていることが多く、特に水回りや内装はかなりの劣化が見られます。
また、親族とはいえ室内などで亡くなられていたようなケースでは、住むには心理的なハードルがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方でこれまで同居していなかった不動産では、いざ住もうとしても、立地や生活環境が合わないことも、まま見られます。
現在の家族や職場・子育て環境と合わないことも多いでしょうか、結果的に「住むつもりで引き継いだけれど、やはり難しい」と売却を再検討されるケースも見受けられます。
そして、一番のネックとして他の相続人がいる場合、1人が相続不動産に住む場合、他の相続人への代償などを、遺産分割協議により調整する必要があります。
他の相続人にとっては価値のない不動産で、無償で快く譲ってくれるケースならば問題ないですが、そうでない場合、他の相続人に相応の代償金を支払いが生じるケースもあります。
共同して相続する相続人の数が多ければ多いほど、その額や人数は多くなりますので、この代償金の負担が発生する場合、これが一番のデメリットといえるのではないでしょうか。
相続した不動産を売る場合のポイント・注意点の詳細
相続した不動産について、「売却」という選択肢を選んだ場合はどうでしょうか。
被相続人が1人で暮らしていて空き家となってしまった物件や、遠方にあって管理が困難な物件については、売却によってスムーズな資産整理が可能です。
多くの方が選択されている方法です。
「売る」ことのメリットとして、まず挙げられるのは現金化により分割・整理がしやすいことです。
不動産を売却することで、売却代金を複数の相続人で分割することが可能にとなります。
つまり現金化することで、相続人間で平等な額で分割が可能です。
またこれにより不動産を共有にしないことで、将来的なトラブルを防ぐことにもつながります。
さらに、空き家のままにしておくことで生じる維持管理の手間について、売却することでこうした手間や費用から完全に解放されます。
また固定資産税や都市計画税など、所有しているだけでかかるコストを回避することも可能です。
一方で「売る」ことのデメリットはなんでしょうか、立地や物件の状態によっては、売却活動が長期化するケースもあります。
またそもそも売却のために、登記名義が死者の名義では売却することができません。
相続登記のためには遺産分割協議書が必須となります。
この遺産分割協議のために原則、相続人全員の同意が必要となります。
また売却するためには室内の遺品整理、一戸建ての場合、建物解体や隣地との確定測量など、売却に向けた準備も必要です。
相続した不動産を貸す場合のポイント・注意点の詳細
相続した不動産を賃貸物件とする場合のメリットは、毎月の安定した家賃収入が得られることです。
特にローンが全て完済済みの物件なら、貸し出した場合は、ほぼ家賃がそのまま収入になります。
一方で、空室リスクや設備のトラブルの対応、修繕費用など、手間やコストがかかることも忘れてはいけません。
一方でデメリットとなるのが、コストがかかる事、特にリフォームコストです。
相続による承継ですので、前の所有者は亡くなられています。
住んでいることが殆どですので生活感がそのままの室内であることが殆どです。
例えば、相続した戸建ての場合、
▼生活感の強いキッチンやお風呂
▼古い内装や汚れた壁紙
▼荷物が残っている
といった問題が頻繁に見受けられます。
中には残置物が山のように室内にあることも珍しくありません。
こうした残置物撤去の費用と、リフォームのコストを支出しなければならないのが、相続不動産を賃貸に出す際のハードルとなります。
特に不動産は水回り(風呂・トイレ・キッチンなどの総称)をリフォームするとなると、あっという間に300万くらいは掛かってしまうでしょう。
また世界的な物価高の影響により、リフォーム代は年々上がるばかりです。
賃貸不動産を持つということは、こうした初期投資が費用かかることもありますし、当初掛からなかったとしても所有の途中で様々な修繕コストがかかることもあります。
こうした資金調達の必要性を踏まえ、リフォーム資金調達をサポートしてくれるパートナーとして、金融機関との付き合いを深めておくことも重要と言えるでしょう。
当事務所では、相続登記から売却準備、さらに同一ビル内の関連会社「株式会社みなとトラスト」による不動産仲介・売却のご相談まで、ワンストップでの対応が可能です。
相続不動産を「どうするか」お悩みの際には、まずは現状把握と今後の選択肢を整理するところから、一緒に始めてみませんか。
相続不動産で賃貸する場合の見落としがちなこと
また相続不動産は、戸建てにしても区分所有(マンションタイプ)にしても、築年数が経過していることが殆どです。
かなりの築年数が経過している物件に対し、どこまでリフォーム費用をかけるべきか、投資する側にとっては判断を迫られることになるでしょう。
戸建ての場合、土地面積が広く形状がアパートなど向いている場合、解体をして新築という選択肢も出てくるでしょう。
しかし、相続不動産はその多くが被相続人の生活の用に供していた不動産です。
つまり殆どが「普通の一戸建て」程度の面積のことが多いです。
戸建ての用地に対して、アパートを建築できるほどの土地面積を確保することが難しいことが多く、仮に新築を建てられるくらいの土地面積があったとしても、建築価格の確保が課題となります。
新築のアパートとなると木造でも数千万単位、ともすれば数億単位での投資となります。
また昨今の建築費の著しい高騰も考慮しないとなりません。
かといって戸建てをそのままリフォームをしたとしても、建物自体は築年数が経過した建物であることには変わりありません。
また戸建てということは、賃貸物件としては「1部屋」のみの貸し出しをするほかなく、家賃の収益性という面では「帯に短し襷に長し」のように陥ってしまうことも多いのも事実です。
区分所有(マンションタイプ)の場合、相続した部屋のみを取壊すことができませんので、相続不動産を賃貸にて活用するという選択をした場合、必然的にリフォームを選択せざるを得ません。
リフォーム業者さんとしても、人手・原材料双方とも不足しているますので、一見さんで1つの工事現場のみを好んで受けて頂けるとは言えない状況です。
大ロットで大量発注してくれる大手業者さん等工事を優先して受けるのは、やむを得ないことでしょう。
相続不動産で賃貸する場合のありがちな失敗
戸建てもそうですが、特に区分所有(マンションタイプ)の場合、より不動産の立地が客付けの大きな要素を占めています。
リフォーム工事でかなりの費用を使ったとしても、駅からの距離などがある立地の場合、思ったように賃借人の客付けが出来ずに苦戦するケースも見られます。
借りて住んでくれる入居者様がいて、初めて収益を生むのが不動産です。
初めての不動産投資でよくみられる光景として、張り切ってこのリフォーム工事に費用を掛け過ぎてしまい収益が悪化してしまう、というケースです。
そもそも初めてのことなので、リフォーム工事の相場が分からないというのものあります。
例えば、家賃を1万をあげても年間の収支は12万円増すだけです。例えば100万かけてキッチンを最新の食器洗浄機つきのアイランドキッチンにしたとしても、この増加した費用を回収するのに8年以上かかってしまいます。
どうしても初めての不動産投資をということで、ここの費用をかけてしまいがちな傾向があるかと思います。
それならばいっそ、敢えて一部のリフォーム工事はせずに良い意味で手を抜いて、家賃を1万下げてしまった方が、かえって入居者が決まりやすかったりします。
私も初めてリフォーム工事をしたときは、どうしても拘りを入れてしまい、工事費用をだいぶ高くかけてしまいました。
家賃相場については、それぞれの地域ごとにある程度の坪単価、平米単価が形成されているため、設備が豪華だからといって、いきなり家賃が2倍3倍となる訳ではありません。
特に相続不動産の場合は、これまで不動産オーナーの経験がない方がいきなり大家さんになるケースもあります。相続
不動産の築年数や周辺環境を確認し、「借り手がつきやすいか」を冷静に判断する必要があると言えるでしょう
賃貸経営で失敗しないためのポイント
相続不動産を賃貸経営で活用することは、相続財産を「収入源」に変える有力な選択肢です。
ただし、リフォーム工事に必要な資金の調達や適正な家賃設定、空室リスクなど注意すべきポイントも多岐にわたります。
不動産はよほど優れた立地でない限り、放っておいて勝手に家賃を運んできてもらえるものではありません。
またよく不動産「投資」と言われますが、現実には個別性が強く所有者の努力によっては差別化も可能なため、不動産「経営」と言った方が適しているのではないでしょうか。
経営である以上、自ら戦略を築く必要がありますし、自分でできないところは外部の専門家に頼んだりして補う必要があります。
また初期コストを抑えやすい相続不動産での賃貸とは言え、不動産経営には変わりがありませんので金融機関との付き合いは必須とも言えます。
こうした資金調達の必要性を踏まえ。リフォーム資金・事業資金などを調達をサポートしてくれるパートナーとして、金融機関との付き合いを深めておくことも重要と言えるでしょう。
相続不動産の活用のポイントまとめ
ここまで見てきたように、不動産の主な活用方法の「住む」・「売る」・「貸す」の3つにしても、それぞれのメリット・デメリットがあることが分かります。
またそもそも不動産は千差万別で、同じものがないという特性があります。
また相続人の経済的な状況、年齢なども様々かと思いますので、それぞれにあった個別の対応が必要と言えます。
当事務所では、司法書士法人近藤事務所と不動産会社「株式会社みなとトラスト」相続登記から売却準備、さらに同一ビル内の関連会社による不動産仲介・売却のご相談まで、ワンストップでの対応が可能です。
相続不動産を「どうするか」お悩みの際には、まずは現状把握と今後の選択肢を整理するところから、一緒に始めてみるのはいかがでしょうか。
初めて不動産経営をする方こそ、信頼できる管理会社や金融機関、専門家の力を借りつつ、一歩ずつ賃貸経営を進めてみてはいかがでしょうか。
当事務所の相続不動産の活用サポート
当事務所では司法書士・不動産会社双方の目線から相続した不動産の最適な活用方法をお伝えさせていただいています。
不動産を相続したが、何から手をつければ良いか分からないという方や、活用までの手続きを丸投げしたいという方はお気軽にご相談ください。
当事務所の無料相談は0120-926-680よりご予約いただけます。
-
お知らせ2025/07/08
-
お知らせ2025/07/07
-
相談事例2025/06/27
-
相談事例2025/06/10
-
相談事例2025/06/03
-
相談事例2025/05/01
-
相談事例2025/04/25
-
相談事例2025/04/21
-
相談事例2025/04/03
-
相談事例2025/04/02