相談例101 法定後見制度と任意後見制度の違いについて教えてください①

横浜市に住む40代女性です。

神奈川県内で離れて1人で暮らす父が、最近ごく軽い認知症の傾向があると医師から告げられました。

 

現時点では殆ど兆候はないのですが、成年後見制度について調べています。

 

その中で「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つがあることが分かりました。

 

法定後見制度と任意後見制度の違いについて教えてください。

 

【回答】

 

ご相談ありがとうございます。この2つは良く質問を受けますが、同じ後見でもその内容はだいぶ違う点もあります。

 

基本的には、法定後見制度では,家庭裁判所が成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)を選任し,その権限も基本的に法律で定められています

 

一報、任意後見制度では,本人が任意後見人となる方やその権限、報酬をを自分で決めることができるという違いがあります。そのほかの主な違いは,次のとおりです。

 

 

 

【後見人を選ぶ人が違う】

 

法定後見では、家庭裁判所が後見人を選任します。

 

後見の申立てをする際に候補者を予め届ける事はできるのですが、その者が選ばれるとは限りません。

家族内での対立や、被後見人の財産に不明点などが多い場合、専門家が後見人に選ばれることも多いです。

 

また成年後見人が誰になるかに関わらず、一旦申し立てた成年後見人選任の申立てを取り下げることはできません。

一度選任された後見人は、原則として辞任などが無い限り、被後見人が亡くなるまで後見業務を行います。

 

 

一方で任意後見では、被後見人となるであろう本人が、将来的に成年後見人になって欲しい人を自由に選べます。

これはいわゆる自然人でも、法人(士業法人やNPO法人など)でも構いません。

 

任意後見はあくまで判断能力が低下する前に、本人と後見人候補者が行う双方の「契約行為」ですので、誰を選ぶかは自由です。

ただし、契約を結べるのは、本人の判断能力が少なくとも契約に合意できる程度はある段階に限ります。

 

 

 

【代理権の範囲】

 

これは民法で規定された範囲において、被後見人の代理権が当然に付与されます。

基本的には財産管理に関するすべての法律行為となります。

また成年後見人があずかり知らないところで、被後見人(本人)が締結した契約を取り消すことができます。

 

 

 


任意後見契約では、予め公正証書による任意後見契約で定めた範囲内で代理することができるます。しかし、本人が締結した契約を取り消すことはできません。

 

 

成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A | 成年後見制度・成年後見登記制度 (moj.go.jp)

 

~次回に続きます~

 

このページの執筆者 司法書士 近藤 崇

司法書士法人近藤事務所ウェブサイト:http://www.yokohama-isan.com/
孤独死110番:http://www.yokohama-isan.com/kodokushi

横浜市出身。私立麻布高校、横浜国立大学経営学部卒業。平成26年横浜市で司法書士事務所開設。平成30年に司法書士法人近藤事務所に法人化。

取扱い業務は相続全般、ベンチャー企業の商業登記法務など。相続分野では「孤独死」や「独居死」などで、空き家となってしまう不動産の取扱いが年々増加している事から「孤独死110番」を開設し、相談にあたっている。

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