相談例61 (相続/不動産登記)⑦登記したいが相続人が認知症です

子どものいない叔父が亡くなり、相続登記をしたいのですが、相続人である叔母のうち1名が重度の認知症と診断されています。

どんな選択肢が考えられるのか、司法書士の方に詳しく教えて頂ければと思います。

 

 

【回答】

結論から申し上げますと、2通りのパターンがあるのかと思います。

相続登記をしたいが、相続人の中に認知症の相続人がいる場合、まず成年後見制度の利用が考えられます。


①成年後見制度の利用
相続人の中に、精神上や知的障害、認知症などの判断能力が十分でない方がいる場合は、その方に対して成年後見制度の利用を検討します。

成年後見制度は、後見、保佐、補助の3段階に区分されます。原則は家庭裁判所が個別に判断をして、どの制度の利用が適切かを検討すべきなのですが、現実としては家庭裁判所に提出する医師の診断書次第で判断行われているのが現状です。

申立てができるのは4等身内の親族、または市区町村長などです。

後見人に選任されれば、本人に代わって遺産分割協議へ参加することもできます。言い換えれば、後見人を除外したまま他の相続人だけで遺産分割をすることはできません。

成年後見人が遺産分割協議に参加した場合、本人の財産保護の観点から、最低でも法定相続分に相当する遺産の分割を家庭裁判所が認めません。法定相続分に相当する金銭でも構いませんが、不動産の価値の算定が難しい場合も多いです。こうした手続きをしないと、不動産をその他の相続人の単独名義に変更することはできません。

遺言による相続登記では、遺言書で不動産を相続することになる相続人が単独で相続登記を申請することができるので、その他の相続人が認知症と診断されていても、相続登記の申請に影響はありません。

 

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2 法定相続分による登記(保存行為)
法律で決められた法定相続分に従って相続登記をする場合、相続人1人からの申請で相続登記をおこなうことができます。

そのため、相続人の中に認知症の方がいた場合でも、その他の相続人からの申請によって、法定相続分どおりの相続登記が可能です。

つまり、認知症の相続人については、関与させなくても相続登記できるというわけです。

例えば、被相続人であるAさんが亡くなり、その相続人が高齢で認知症の弟Bと、すでに死亡している別の弟の子供CとDの場合、CとDが申請人となり、法定相続分どおりに、弟のBに2分の1、CとDに4分の1ずつの相続登記をおこなうことができます。

但しこの場合、依頼を受けていないBについては、登記識別情報通知(権利証)を発行することができません。このため司法書士が相続登記をした後に、不動産を売却したいような場合には、あまり意味をなさないことになってしまいます。

 

 

 

 

 

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