相談例73 (相続/不動産登記⑪)相続でも不動産取得税は課税されるの?

横浜市在住の80代の叔父が死亡し、相続が発生しました。

叔父といっても正確には私の亡くなった叔母の夫に当たります。このため法律的には相続関係にはありません。叔母は早くに病気亡くした後は、叔父と呼んでいたこの男性は独身を続け、子供もおらず、その後に再婚などもしなかったため配偶者もいませんでした。


同じ横浜市で比較的に住んでいた私が、晩年の面倒をみていたこともあり、生前に公正証書遺言を作成してくれていました。このため不動産、預貯金などの財産全てを私が遺贈を受ける内容でした。

遺言執行者に司法書士が選任されており、その司法書士の方が遺贈の登記を済ませてくれました。

しかし、その3カ月ほど後に、所轄の税務署から「不動産取得税のお知らせ」という郵便が届きました。

私は不動産取得税を払わないといけないのでしょうか? 遺言でもらっているのに何か腑に落ちないです。それとも遺贈という不動産登記が間違っているのでしょうか?

 

回答

 

不動産取得税とは、土地や家屋を購入したり、家屋を建築するなどして不動産を取得したときに、その取得者にかかる税金です。不動産の取得について、有償・無償の別、登記の有無、取得原因は問いません。

そのため、贈与や等価交換でも課税されることなります。ただし、一定の場合には非課税や軽減制度が適用できる場合があります。


そもそも遺贈には、下記の2種類が存在します。

包括遺贈 ・・・ 遺産の全部又は一定割合についての遺贈

特定遺贈 ・・・ 遺産のうち特定・具体的な財産についての遺贈


もう少し具体的に説明すると、①「包括遺贈」とは、目的物を特定しないで、全遺産、又は全財産の定の割合を指定して行う遺贈です。「遺産の全部」とか「遺産のうち4分の1」というような遺贈は、特定遺贈になります。


これに対し「特定遺贈」とは、「自宅の土地建物のみ」とか「別荘のマンションのみ」、「現金100万円」というような、目的物を特定して行う遺贈のことを指します。

遺贈は上記の2種類に分けられます。また遺贈は、相続人についても、相続人以外にも、行われる場合もあります。

よって遺贈については下記の4パターンに分類され、不動産取得税を課税をされるのは、相続人以外への特定遺贈の場合に限られることになります。

【遺贈の4パターンまとめ】

  包括遺贈 特定遺贈
相続人 非課税 非課税
相続人以外 非課税 課税


但し、ここで分かりずらいのが、登記記録上では、包括遺贈・特定遺贈にかかわらず、登記の原因は「遺贈」としか表記されないということです。

このため登記記録で課税原因を把握している税務当局からは、この遺贈が特定遺贈なのか包括遺贈なのかが分からないことになります。

こうしたこともあり、遺贈の登記を申請すると、「不動産取得税のお知らせ」という郵便が届くことがあるようです。

上記の図に当てはめて考えれば、「相続人以外」への「特定遺贈」でない限り、不動産取得税は掛からないことになってきます。

この該当する場合は、「不動産取得税非課税申告書」に以下の必要書類を添えて、不動産の所在地を所管する都税事務所(都税支所)・支庁へ提出すれば、不動産取得税の支払いをする必要はありません。(リンクは東京都内の場合)

【必要書類】

ア 前所有者が亡くなった事実が確認できる書類 : 取得者と前所有者(亡くなった方)の関係がわかる書類
・戸籍全部事項証明書(除籍全部事項証明書)
・住民票(除票※マイナンバーの記載がないもの)
・法定相続情報一覧図 等

イ 遺言公正証書 または 遺言書(検認されたもの)

・必要書類はすべて写しで大丈夫です

 

 

司法書士法人近藤事務所では、相続登記のご依頼についても、親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
ご予約専用ダイヤルは0120-926-680になります。

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