相談例53 (遺言書/相続)例⑬同性パートナー(LGBT)の方の遺言

私はいわゆるLGBTです。同性のパートナーがいましたが、当然にお互いに子供はいません。

パートナーは私より年下だったにも関わらず、この度、亡くなってしまい、相続が発生しました。パートナーとは婚姻関係は無く未婚でしたが、パートナーが私に自筆証書遺言書を残してくれました。パートナーとは別居でしたが、住んでいたマンションと幾ばくかの銀行預金を、私に全部遺贈するとの内容です。

しかし亡くなったパートナーの弟さんからは、「他人でしかも同性に財産を上げるなんて、そんな遺言は無効だ」と心無い言葉を投げかけられています。

司法書士の方に相談したいのですが、本当にこの遺言では不動産の相続登記などはできないのでしょうか?

【回答】

現状の法律では、同性・異性を問わず、パートナーや内縁関係の者に法定相続権はありません。

今回のケースでは、遺言がない場合は、確かに亡くなった方の弟さんが法定相続人となりうるでしょう(亡くなった方の両親など直系尊属が全て死亡している場合)。

こうした場合の相続の対策としては

   1 養子縁組

   2 遺言書作成

が一般的です

養子縁組を利用すると、法律上の親子関係となりますので、もう一人の同性のパートナー子となります。よって法定相続人となり、第一順位としての相続人となります。

しかし、養子縁組は姓が変わってしまったり、また年下の者は年長者の親になれないため、必ず年上の方の性を名乗ることになります。

  >第793条 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

よって、いわゆるLGBTのパートナー関係の場合、相続の対策には、遺言を使われるケースのが多いように思います。

今回、亡くなったパートナーの弟様が相続権を主張される場合、この自筆証書遺言を無効であることを訴訟などで確認を得なければなりません。

今回は自筆証書遺言ですが、自筆証書遺言の場合は、後々のトラブルになることも多々あるため、このような場合で遺言を作成する場合は公正証書遺言をおすすめいたします。

また今回は自筆証書遺言ですので、家庭裁判所での検認が必須となります。家庭裁判所での検認においては、法定相続人全員に対し、通知が行きますので、やはり法定相続人の弟様と家庭裁判所で顔を合わせないとなりません。この状況ですと、あまり気分の良いものではないかもしれません。

同性パートナーの場合、何も対策しないと一切財産が受け取れない事が十分に予想されます。事前に相手を思いやるためにも「遺言書」の作成は最低限の対策と言えるでしょう。

*本件は業務上の経験と個人的な見解とに基づき記載しておりますので、内容の正確性、法的整合性等ついては一切の保証をできかねます。各相続のケースでは各専門家の指導の下、個別具体的な判断お願い致します。

司法書士法人近藤事務所では、遺言書の作成についても、親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
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