相談例77 (相続/不動産登記)⑮父が、遺言書で不動産の遺贈を受けましたが・・


横浜市に住む遠縁の親族が昨年死亡し、相続が発生しました。

この親族には子供はいたのですが、子供が生まれた直後に離婚して以来疎遠で、折り合いが極めて悪かったようです。このため生前に親交のあった「私の父」に「横浜市内の自宅不動産も含めた全ての財産を遺贈する」旨の遺言書を残していました。

しかし、私の父は、この親族が亡くなる前の、今から3年前に先に死亡してしまいました。
横浜市内の司法書士の先生に相談をしましたが、その司法書士の方からは
「あなたはいわゆる受遺者からみえれば代襲相続人にあたりますが、受遺者であるお父様が亡くなられているので、そもそも遺言自体が無効です」
との説明を受けました。

本当に私は父の代わりに親族の遺産を受け取ることができないのでしょうか?

尚、遺言書には,遺産全部を私の父に遺贈させる旨と、遺言執行者の指定に係る旨のみしか記載がありません。

 

<回答>

結論としては、相談者様の父に遺贈する旨の遺言の部分は無効と考えられます

特定不動産を法定相続人んに「均等に相続させる」という遺言書が残されたが、
法定相続人のうちの1名が、遺言者より早く死亡した場合の登記申請の取り扱いに関しての問い合わせに対して、
昭和62年6月30日法務省民事局回答は,「相続させる」という遺言の文言であっても、このような遺言は遺贈と同様に扱うこととし、無効と判断しています。
つまり「相談者様のお父様が先に亡くなった場合には、相談者に相続させる」というような文言が遺言に無い限りは、民法994条1項(「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」)と同様に考えるとの判断です。

どちらにしても、相談者様の父に遺贈する旨の遺言の部分は無効であるとして扱うべき,と検討されます。

参考しして、登記実務においても同様の見解を示している参考事例を紹介しておきます。

(昭和62年6月30日民三第3411第三課長回答)
遺言者が、その者の法定相続人中の1人であるAに対し、「甲不動産をAに相続させる」旨の遺言をして死亡したが、
既にAが遺言者より先に死亡している場合には、Aの直系卑属aがいる場合でも、遺言書中にAが先に死亡した場合には、
Aに代わってaに相続させる旨の文言がない限り、甲不動産は、遺言者の法定相続人全員に相続されると解するのが相当であり、
その相続の登記をなすべきである。

公正証書による遺贈の受遺者(登研480号)
○要旨 「不動産を長男Aの遺児を除き実子達に遺贈する。」旨の記載のある公正証書により所有権移転登記を申請する場合において、
    受遺者の1名Bが遺言者の死亡以前に死亡しているときは、Bの相続人は受遺者とならない。
▽問 左記相続関係(省略)において「遺言者甲は、その所有する不動産を長男Aの遺児を除き実子達に遺贈する。」旨の公正証書によって
   所有権移転登記をする場合において、受遺者の1人Bが遺言者の死亡以前に死亡しているときには、Bの相続人は受遺者とはならないと考えますがいかがでしょうか。
◇答 御意見のとおりと考えます。

 

司法書士法人近藤事務所では、遺贈や相続登記のご相談にも個別に対応させていただきます。
ご予約専用ダイヤルは0120-926-680になります。

横浜の相続まるごとお任せサービス~横浜で相続・遺産整理なら (yokohama-isan.com)

土曜・日曜・祝日の面談をご希望の場合はご相談ください。

相談事例の最新記事

Page Top