相談例82 (渉外相続)③外国籍の夫名義の不動産を「相続」したい

今般、私の夫が死亡しました。夫はアメリカ国籍です。
夫は金融機関に勤務していたため、かつて日本で勤務していた際に横浜にマンションを購入していました。
その後、夫はシンガポールやアメリカ本土に転勤になったため、この不動産は賃貸に出していました。
夫の最後の住所はアメリカ合衆国です。

夫もある程度の年齢になってきたこともあり、この横浜市の不動産について相続手続きを考えております。
この際に注意すべきことはなんでしょうか?

【回答】

被相続人がアメリカ合衆国国籍の方で、相続財産の中に日本の不動産があるケースかと思います。
結論としては、不動産の登記については、日本国内にある不動産については、日本の民法の相続法が適応されることになります。


法の適用に関する通則法36条により、被相続人の本国法であるアメリカ合衆国法の相続法がが準拠法となるが
米国法にも、不動産の相続に関しては不動産の所在地国の法律を適応する旨があるため、結論として、不動産の相続については日本法が適応されます。
但し、これは被相続人に遺言(last will and testament)がないことが前提です。
このように法の適応が行ったり来たりするようにみえることを「反致」などと呼びます。

いずれにしても遺言書がない場合、相続登記のためには法定相続人の確定が必要です。
しかしアメリカ合衆国を初めとして多くの国では、日本のような戸籍制度や住民登録制度という概念も制度も存在しません。

このため遺言書がない場合の相続を証する書面として、アメリカ合衆国で取得した被相続人の出生証明書、死亡証明書、婚姻証明書などが取得出来る限りの証明書を取得した上で、最後は相続人と思われる方全員から、この他に相続人は存在しない旨の宣誓供述書(affidavit)を作成します。
これを大使館や公証人の認証を受けることにより、日本における戸籍に代える他ありません。

尚、日本の法務局では、英文ほか外国語でかかれた書面のみでの登記申請や添付書面を認めていませんので、全て和訳をした上で、翻訳者の記名捺印が必要となります。

またこうしたケースの場合、登記簿謄本上の住所と、被相続人の死亡時点での住所が一致しないことが極めて多いです。こうした場合、本来、相続では必要とされない権利証(登記識別情報通知)の添付や、納税通知書などの添付を求められることも多いです。

司法書士法人近藤事務所では、外国籍の方の相続登記のご相談にも個別に対応させていただきます。
英文文章の翻訳も、弊所内で可能です。
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