相談例64 (相続放棄)③日本国籍を離脱した相続人も相続放棄が必要?

横浜に住む父親の兄弟にあたる叔父が死亡し、相続が発生しました。
父親は他の兄弟姉妹も多く、中には死亡している人もいます。このため甥姪を合わせると相続人は10人以上います。
相続の手続は、わずかばかりの銀行預金と、叔父の自宅の不動産のみです。
不動産の登記については、司法書士に依頼をしています。
また全体として相続財産の額が僅少なので、殆どの相続人は相続放棄を検討しています。

ただ甥姪のうち1名が米国人と結婚し、アメリカで国籍を取得しています。
長年アメリカで暮らしており、アメリカ国籍を取得後、日本国籍は離脱しています。

この相続人についても、そもそも相続放棄は必要なのでしょうか?
また相続放棄をすることは可能なのでしょうか?

【回答】

相続が発生したとき、相続人は相続を承認するか(単純承認)または相続放棄を選択しないとなりません。
これは遺された相続財産よりも、借金などの負債が大きい場合に認められる相続人の権利です。
相続放棄をすれば、被相続人の権利や義務を一切受け継がないため、借金を相続することもありません。
この手続を相続放棄といいます。
そして単純承認をするか、相続放棄を検討しないとならないのは、相続人にあたれば全員が必要です。
現在の国籍は関係ありません。

このため最初の質問に対しての回答としては、相続放棄は必要との回答になります。
相続放棄をするのか、相続を承認し遺産分割協議書などに参加するかについては、相続の開始を知ってから3カ月以内にしないとなりません。(民法第915条. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。)

また元々は日本国籍だった方が、外国籍の方と婚姻したことで外国籍を取得していることがあります。

こうした元日本国籍で現在は外国籍の相続人の方が相続放棄をする場合、どのような書類が必要になるのでしょうか。
元日本国籍を保有していた相続人が、その後に何らかの理由によって、他の国籍を取得(帰化)している場合、日本人ではなくなっているので、日本に戸籍がありません。
このため相続放棄手続きで必要となる、自身の現在戸籍の取得することは不可能です。
日本では原則として二重国籍の保有を認めていないことが原因になります。

こうした方の相続放棄手続の場合、通常の相続放棄手続きで必要となる戸籍や住民票等の他に、「日本国籍を喪失したことが分かる戸籍(日本国籍を喪失した旨が書かれている戸籍)」が必要になります。

例えばですが、日本国籍を離脱した記載のある「改正原戸籍」などがこれに当たります。

この戸籍において、他国の国籍を取得した事が明らかな場合では、取得した諸外国籍を取得したことがわかる証明書までは求められれないことが多いです。
弊所で取扱いした横浜の家庭裁判所におけるケースではそうでした。

*通常通りの相続放棄に関する戸籍などは必要ですので、下記のリンクなどでご確認ください。

相続放棄の必要書類 家庭裁判所

相続放棄が認められれば、最初から相続人でなかった事になりますので、日本に戸籍や住所が無く、印鑑証明書などの取得ができなくても、相続手続を進めることがかのうでしょう(民法第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。)

ただ申し立てる管轄の裁判所裁判官の判断や、日本の戸籍において諸外国の戸籍を取得したことが明らかにならない場合、不明点が多い場合などは別途書類を用意する必要が生じる可能性もあります。詳しくは直接、申立先となる管轄裁判所や、渉外相続の手続に詳しい司法書士などの各専門家に委任すべきでしょう。

司法書士法人近藤事務所では、相続放棄のみのご依頼についても、親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
ご予約専用ダイヤルは0120-926-680になります。

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