相談例31 なぜ子供のいない方の相続手続きは難しいのか?②

まず前回の投稿でも指摘したように、単純に「相続人の数が多くなり易い」という事例があります。

子供がいない方の相続が発生した場合、通常、尊属(親や祖父母)は亡くなっていますので、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。

亡くなられる方の兄弟姉妹ですので、同年代(~15歳差前後)ですので、当然先に亡くなられている方もいます。となると代襲相続人は甥や姪ということになります。

前回の投稿(相談例30  なぜ子供のいない方が亡くなった場合、相続手続きは難しいのか?① | 横浜の相続丸ごとお任せサービス (yokohama-isan.com))でも指摘したように、代襲相続が甥姪までで止まるとはいえ、昔の方は兄弟も多いため、相続人が増加しやすい傾向にあるといえます。

国税調査の古いデータを見てみても、1920 年の第1回国勢調査当時では、10 人以上の大家族も、1112 万世帯のうち 50 万世帯(4.5%)とそれほどめずらしいものではなかったが、現在ではこのような大家族は 余り見られません。

 *参考)国勢調査についてのレポートuntitled (stat.go.jp)

例えば実際に司法書士法人近藤事務所であったケースで例示します。

8人兄弟姉妹で、子供の無い1名が死亡。残り7名のうち、5名が死亡していたとして、その5名に各3人ずつの子供(被相続人からみて甥姪)がいた場合、相続人が何人いるか、分かるでしょうか。

簡単な小学生の算数のようですが、数次相続でなく全て代襲相続と仮定しても、17人の相続人となります。

相続登記や相続手続きを懈怠した場合、連続して相続が起きてしまう数次相続の場合、さらに人数が増えることがあります。

相続人が多くなって何が問題か?

最も顕著となる問題は「意思疎通の問題」でしょう。

遺言の無い相続手続きは「二人三脚」と似ています。小学校などの運動会で行ったあの協議です。

裁判や調停とならない相続で必要なのは、要は意思の合致です。主導的に相続手続きを行う人が現れない場合、この手続きがなかなか進みません。子供のみの2~3人の場合、意思疎通が取りやすいですし、家族内でも上手くいくかもしれません(こうしたケースでも、弊所にご依頼を頂く場合もありますが)。

相続人が多いケース、例えば先ほどの17人の相続人のケースなどは「17人18脚」のような意思疎通とも言えます。

相続人で余程の時間を割いて、手間や音頭を取ってくれる人がいない限り、難しいといえるのではないでしょうか。

そして、相続人多数の相続の場合、さらに顕在化するのが被相続人所有の不動産の問題です。

横浜市においても、65歳以上になると約8割の世帯が持家に居住しているといわれますので、この不動産が相続手続きの手間となる場合が多くみられます

(続く)

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