相談例32 なぜ子供のいない方の相続手続きは難しいのか?③

相続人が多数のケースの場合、ネックとなるのは、人数の多い相続人全員の「意思疎通」であることは、前回の投稿で指摘しました。


人の財産は概ねですが、「不動産」・「預貯金」の2つに分けられるといえます。預貯金については、金銭なので割り算ができます。最終的には法定相続分で按分するケースも多い為、若干ハードルが低いといえます。


一方で①の不動産については、被相続人の自宅が所有の場合、換価などをしない限り、按分することができないため、よりハードルが高いと言えるでしょう。換価のために、生きている人名義に登記を変えない限り、何もすることができません。

横浜市など都市部ベットタウンの持ち家率について

下記の横浜市のデータは大変興味深いです。

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/tokei-chosa/portal/bunya/jutaku/bunya1007.html

横浜市においても、65歳以上になると約8割の世帯が持家に居住しているといわれます。


逆を言えば、亡くなった方の概ね8割(*上記データ世帯ですので、正確には異なるでしょうが)について、何らかの不動産に関する手続きが必要となります。一般的に相続登記などいわれる手続きです。

子供のいない方が亡くなった場合、この登記名義を誰が受け継ぐのか、という時点から決まらないケースも見られます。そもそも多数いる相続人に当たる方が、被相続人の相続の発生をしらないケースも、珍しくありません。

生涯未婚率の上昇について


一方で、未婚率は年々上昇を続けています。
平成30年時点で約3割の男性が未婚という状況です。

未婚でも子供のいる方もいるでしょうが、大半は「子供がいない相続」の発生確率が高いと言えるでしょう。また共働き世帯が増えていますので、婚姻していても子供がいない世帯も多くあります。

平成29年版 少子化社会対策白書 全体版(PDF版) (cao.go.jp)

このため「子供のいない方の相続」については、現場の感覚としても、減ることは無く、確実に増えているのが現状と言えるでしょう。


(続く)

相談事例の最新記事

Page Top