相談例27 共有の不動産にも配偶者居住権は設定できますか?

相続した不動産には共有のものも多いと思いますが、相続した共有の不動産にも配偶者居住権は設定できるのでしょうか?

<回答>

建物が共有である場合には、この配偶者居住権は設定できないと解するのが相当と考えます。

配偶者居住権は「建物に居住する権利」ですから、他人の権利が存する共有不動産の建物には設定できないと考えるのが相当です

第249条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

ある不動産が「甲」と「乙」の2分の1の共有だったとして、AもBも自由に持分を売ることができます。

相続が発生した際に、建物全体に配偶者居住権を認めてしまうと、持分を自由な処分を害することになりますので、問題が生じます。

一方で、亡くなった被相続人と、配偶者との共有の場合はどうでしょうか。

ある建物が夫婦の共有だったとして、夫が亡くなり、被相続人となり、遺産分割協議で妻が配偶者居住権については、他人の権利を害さないので、配偶者居住権は成立しうると解するのが相当と考えます。

この場合、相続人である「共有者」は妻自身ですから、何の不利益もないと考えられるからです。

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